熊本大学の苫野一徳先生に教わった「本質観取」。
物事の本質について考え、共通了解を形成していく営みです。
これによって、他人と共同でプロジェクトなどを進める際に、同じ言葉を使っていても意味が異なる、目指すものが違う、などを防ぎ、言葉のズレが生じないようになります。
私は苫野先生のオンラインゼミにも入っており、何度か本質観取を体験し、勉強させてもらっています。
本質観取はたくさんの人でもできるし、一人でも出来る哲学対話なので、このブログではこれから色んなテーマでやってみたいと思います!
今日のテーマは「学校とは何か」です。(テーマは「感情、ことがら、価値+とは何か?」で決めるそうです)
本質観取の進め方
苫野先生が本質観取について動画を出しています。
この動画でも本質観取の進め方について話されていますが、実際に何度か本質観取をした際には以下のような進め方でされていました。
①テーマを設定した理由の共有
②テーマに沿って具体例を出す
③具体例に共通するキーワードを挙げる
④本質契機(そのテーマを表すために必須の条件を決める)
⑤本質定義(テーマの答えを一言で定義する)
それではこの手順に沿って「学校とは何か」を考えてみたいと思います。
①テーマを設定した理由の共有
今回「学校とは何か?」をテーマにしたのは、私が学校を作りたいと思って教員を辞めて今の活動をしているからです。
でも自分が言う学校の姿がまだはっきりと見えません。
学校法人でなければならないのか、オルタナティブスクールでもいいのか、どんなものを作っていきたいのか。
このように何を持って学校と言い、今後何を目指してどのように行動していけばいいかを考えたかったからです。
②テーマに沿って具体例を出す
私の思う学校の具体例は以下のものです。
・通う子どもたちが学ぶ場所だと思っている
・外にいる人たちも「あそこは学校だ」と認めてくれる
・子どもたちにとって学びの中心の場所である
・大人や子ども同士でコミュニケーションを取っている
・全人的に学んでいる
合わせて類似概念や反対概念、類型について考察することも大事です。
・居場所・家庭 → 周囲や子どもが学ぶ場所と意識しているかどうか
・コミュニティ → 人が集まること・交流することに重きが置かれている
・職場 → 学ぶことよりも成果を出すことに重きが置かれている
・子どもにとっての学校 → 特定の技能ではなく、全人的な基礎を学ぶ場所
・大人にとっての学校 → 即戦力となる技能を学ぶ場所
・専門的な学校 → 特定の分野に特化した学校
・総合的な学校 → 特定の分野だけではなく、道徳的・技術的なことも含め人として大切なあらゆることを学ぶ学校
③具体例に共通するキーワードを挙げる
以上のような具体例から導き出されたキーワードは以下のようなものです。
・子どもや周囲が学ぶ場所だと意識している
・人との交流や心地よく過ごすことがメインではない
・大人と子どもが集まって関わり合っている
・特定の分野・技能を学ぶのではなく、全人的な学びをしている
④本質契機(そのテーマを表すために必須の条件を決める)
さて、以上のキーワードを受けて、これを外しては学校とは言えないよね、という本質契機は以下です。(あまり③と変わらないような・・・)
・学びの場としての意識
・色んな人が集って交流する
・全人的な学び
⑤本質定義(テーマの答えを一言で定義する)
ということで、ここまでをまとめて、「学校とは何か?」の問いに答えたいと思います。以下のように定義しました。
「学校とは何か?」 = 多様な人が集まって交流する全人的な学びの場
みんなが学校だと思えばそこは学校
ということで、「学校とは何か」の本質観取をしてみました。
この定義と今自分がしている活動とを比べると、「子どもや保護者、関わる大人が学ぶ場所としての意識を持っているか」が足りないように思います。
そう思ってもらうためには、実際に子どもたち学んでいかなければいけないと思います。
そして、多様な人が関わり合うこと、も不十分だと思うので、色んな年齢・性別・個性の子どもたちが集まれるように、広報もしていきたいです。
デモクラティックスクールはカリキュラムがなく、子どもが自由に過ごせることから居場所活動や家庭との違いが見出しにくいスクールだとは思います。
けれど、日本初のデモクラティックスクールまっくろくろすけはこの定義を満たしているように感じます。
子どもたちは何度も学びを実感することで、まっくろを学びの場だと捉えるようになった、ということではないでしょうか。
学校法人どうこうではなく、私もそんな学校づくりをしていきたいです!
ちなみに一人で本質観取をやってみると、オンラインゼミでやっているときと比べて、深まりが難しいように感じました。。。
今度は家族やAIと一緒にやってみたいと思います。
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