いわずもがな多くの人が知ってる公文式。
町を歩いたらしょっちゅう公文教室の看板を見かけます。
で、はっきり言うと、私は公文式に全く良い印象がありません。
詰め込み教育の最たるものだと考えていました。
しかし、このような本を見つけました。
えっ?!そうなの?!
しかも著者は、私がすごく勉強させていただいている おおたとしまささん。
これは読まないかん…と思い、Amazonでポチり。
読み終わって鉄が熱い内に書評を書きつつ、公文式について思うことを書きます!
公文式とは?
公文式は、高校の数学教師だった公文公(すごい名前!)が1958年に創立した学習教室です。
日本ではよく知られた教育法だと思いますが、なんと世界中に広がっているのです!!
教育事業関連データ(2025年3月現在)
全教科合計学習者数:357万(日本132万、海外224万)
普及地域:世界61の国と地域(日本含む)公文式教室(2025年3月現在)
合計 日本 海外 教室数 23,400 14,800 8,600 教室指導者数 21,200 13,000 8,200 (※合計の数値は、日本・海外の実数の和より切捨て)
元々は公文公さんが息子に算数・数学を教えるところから始まったとのこと。
そしてその息子・毅さんは後に公文の社長になるのです!
特徴的なのは、以下のようなところです。
・子どもに「ちょうど」のプリントで学習する
・学校の授業進度を気にせず、できる子はどんどん先に進む
・指導者は教えることなく、自分でやり方に気が付くのを待つ
世界各地にある公文ですが、どの教室でも同じ方式で学習しています。(しかし指導者の腕は問われるそうです)
また、教科は国語・算数・英語とあります。
元々は算数教室から始まったこともあり、算数のイメージが強く、図形問題や文章問題には取り組まず、代数系の計算力を高めることに特化しています。
年齢層も幅広く、乳幼児から高校生まででなく社会人までもカバーしてるのだとか!
おそるべし、公文式。。。
公文式のメリット
本書では以下のメリットが挙げられていました。
学習習慣の定着
公文式は週二回通い、その日の課題が終われば何時に帰ってもいいという方式です。プリントの枚数は5~10枚程度、平均滞在時間は30分程度だそうです。
プリントの難易度は子どもができる力より下のものから始めて、スモールステップで難易度があがっていきます。
スピーディに満点が取れるまで同じプリントを繰り返していきます。
公文式では「ちょうど」の学習、ということを意識しており、子どもにとって無理ないレベルで、どんどんレベルアップしていくことが報酬となり、子どもは頑張れるそうです。
また宿題のプリントもあるので、家庭学習の習慣にもつながります。(保護者はこれを見るのが大変らしいですが。。。)
計算が速くなる
私もかつて担任したクラスで公文式を習っている子どもはたくさんいました。
彼らはものすごく計算が速い!!たぶん私より早いです。
他に苦手なことがたくさんあっても、それで一つ自信がつくなら悪くはないなと思っていました。
他の教科でも、国語なら読書能力が高まるし、英語なら英文読解ができるようになる、といったように基本の力をつけることができます。
学力の貯金ができる
公文式では学習指導要領や学校での授業進度などは一切気にせず、できる子にはどんどん先取りをします。
だから小学生が微積分の計算ができる、というような状況も起こります。
元々公文式は「受験勉強を楽にするため」のプログラムだそうで、計算など一部の分野を先取りしておくことで、その分野は受験勉強に時間を割かないでよくなり、他の苦手分野に力を入れることができるようになる、というのが狙いです。
私が担任していた子どもたちも、授業の内容ですでに理解しているものが多くあり、狙い通り貯金できている印象はありました。
自学自習の力が付く
公文式では子どもが問題を間違えても指導者は教えません。
その代わり、プリントをよく見て考えたら一人で分かるように、細かいステップで難易度が組まれています。
これを繰り返すことで、子どもはヒントから自分で考える力がつき、一人で学習できるようになります。
本書のあとがきにもありましたが、創業者の息子・毅さんは多趣味だったそうですが、この力のおかげでたいていのことは自分で調べて習得できるようになったそうです。
公文式のデメリット
本書では以下のデメリットが挙げられていました。
理解を深める楽しさを奪う
公文式では文章問題や図形問題など思考を問うような問題は扱いません。
なので、難しい問題を考えることが好きな子にはフィットしないそうです。
またプリントの順番が決まっていて飛ばすことはできないので、「一を知って十を知る」タイプの子には退屈に感じてしまうそうです。
完璧主義になる
公文式では与えられたプリントで満点を取らないと次のステップへ行けません。
このことから完璧主義、減点法での人生観が生まれてしまうことが考えられます。
受験ではミスをしないことが大事なのはもっともですが、その負の側面を公文式が受け入れていることは否めません。
便利な道具に頼ってしまう
公文式では学校の学習進度は一切関係なく進むので、中学受験では定番の「つるかめ算」などは中学校分野の方程式を使って解きます。
しかし、「つるかめ算」は文字式を十分に習得していない小学生が、小学校分野で習った内容という武器だけで頭を使ってどう立ち向かうかを問う問題です。
便利な道具に頼らず、手持ちの武器だけでどう戦うか、という力が公文式では育ちにくいと考えられています。
みょーちゃんは公文式をどう思ったか?
この本を読んで思ったことは「公文のこと何も知らずに毛嫌いしてたなぁ」ということです。
創業者の思いを知って背景がよく分かり、スモールステップの方針は自分の学習指導でも活用できそうだなと思いました。
創業者の公文公さんが生きた時代や当初始めた思いを考えると、今の公文式への印象とは違う姿が見えてきて、好意的に受け取れる部分も多かったです。
だから、元々は良いものだけど、広まっていくとズレるなぁというのは世の常ですね。
こういうこともあり、原理原則は大事にするんだけど、方法論は決めず現場に任せるというやり方の方が、私は好きです。
そして、本書で一番私の心に響いたのは「公文は計算力を効率よく上げる専用ツールであり、それをどう使うかは私たち次第」ということです。
私は子どもが何をしたいか、何を選ぶかという感性を大事にしているので、子どもが公文をやりたいと言ったらやればいいんじゃないかなと思えました。
ただ宿題をやらせたりはしないので、親がそういう姿勢だとダメだと本書に書かれていましたが。。。
公文式のことをいいなぁと思っている人も、そうでない人も、ぜひ読んでみてください!
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