私のやっているデモクラティックスクールとは「民主主義の学校」という意味です。
学校における民主とは子どもが中心ということです。
スタッフや保護者もスクールの関係者としているし、時には意見を言うこともあるけど、中心はやはり子どもです。
そしてデモクラティックスクールでより良い民主主義の在り方を学んだ子どもたちが、社会に出て自分たちの思う民主主義の担い手になってくれればいいなと思います。
そこで、今回はそのより良い民主主義とはどういうものなのか、考えていきたいと思います。
フリースクール運営について考えている方、クラス経営に悩む先生、参考までにどうぞ!
①対話でみんなが納得する
学校教員をしていた頃、多数決では納得いかないことってよくあるなぁと思っていました。
でも多数決以外の解決方法はどうしたらいいんだろう?とも思っていました。
じゃあ少数決にすればいいの?っていうとそうでもない。
そこで私はみんなからの選挙によって選ばれた学級委員が決定する、という手法をとっていました。ただし、全体で意見は出し合うし、学級委員は決定する際に理由を伝えること、というのは条件にしていました。
これも悪くないとは思っていましたが、AかBかどちらかという議題の時にどっちかに決定しがちではあります。
本当の民主主義は対話によって全員が合意する道を探ること。A案かB案で納得できるなら良いけど、どちらも納得できないならC案を考えること。
でも学校だと時間がなくてなかなかここまで辿り着かないことが多かったです。
しかし、デモクラティックスクールならいくらでも時間をかけて対話できるので(子どもの集中力がもつかは別)、ぜひここにチャレンジしてみたいです!
ちなみに苫野一徳先生から「多数決はそれで決めることが合意されている場合のみ民主的な決め方である」ということを聞いて、それはひどく納得しました。
②声が届く
だれが政治家になっても一緒やし、投票なんて行かんとこ。
こう思ってる有権者、特に若者が多いので、日本の投票率はとても低いです。
この原因は有権者一人一人の声が国会に届かないからなんだと思うのです。
これは、日本は間接民主制であり、選挙で選ばれた代議士が声を届ける役割になっているからではないでしょうか。
ですので、意見を表明したければ決定の場に直接声を届けることができる「直接民主制」にした方がよいのではないか、と思います。
今はネットが普及した時代なので、テクノロジーの力でできそうな感じはします。
でも人が多くなると直接民主制はやりにくいのが現実です。
その点、デモクラティックスクールなら直接民主制はできます。人数があまり多くないからです。
学校のクラスでも人数は多いので、クラス会議で発言しない子というのは結構多いです。
こういう小さい場から意見を伝え、それが反映される経験を積むことで、社会に出た時にも声を上げることを大事にできるのではないでしょうか。
ただし、参加しない権利はあるので、デモクラティックスクールでもミーティングに参加しないという選択肢はありです。
③みんなが対等である
対話をして何かを決定するとき、だれかの意見に流されることがあります。
これは大人の世界の方が顕著ではないでしょうか。学校で言えば、校長など管理職の意見で決まったり、ベテランで力のある先生の一言で話が流れたり。
こういう日頃の力関係に左右される対話の場づくりでは、「言っても無駄」という意識が生まれたり、発言しにくかったりします。
一時期学校において会議は無駄、という風潮が生まれていました。その結果職員会議は「校長の決定の補佐機関」「議論する場ではなく、運営会議で決まったことを伝達する場」となりましたが、これは上下関係を決めて対話を拒絶する本当に愚策だと思います。
そうではなくて、対話のルールを守っている限り全員が自分の思っていることを発言でき、それを流されることなく検討してもらえる。採用されるかは別にして、受け止めてもらえる。
そういうのが良い対話の場であり、民主的な場ではないでしょうか。一人一人が民で主役なわけですから。
④権利の尊重
テーマは「良い民主主義とは」なので、対話以外にも目を向けてみましょう。
良い民主的な場とは個人の権利が尊重されている場です。つまり、人に迷惑をかけない限りは個人は自分の思うように過ごせるし、必要以上に口を出されないこと。
権利は守るものであって、制限されるものではないです。みんなの権利を守るために結果として制限が起きる場合があるだけです。
なので、個人の権利が侵害されそうだと思ったら、それも対話によって意見を届けることができ、みんなで考えるというのは必要なステップだと思います。
形を探るのが民主主義
以上、挙げてきたことは原則としてはそうですが、具体的にどんな形が最善か分かりません。
その社会の構成員で決めることです。
ですので、国の民主主義で言えば諸外国の形は参考になりますが、そのまま取り入れることは危険です。住んでいる人や文化や環境が違いますから。
デモクラティックスクールでも同じことで、それぞれのスクールのスタッフと子どもでどんな形が良いか考えるべきで、他のスクールの方法をそのまま採用する必要はないと思います。
みんなが心地よく過ごせればそれでいい。
まずは子どもにとっての小さな社会であるデモクラティックスクールでより良い民主主義の方について考えていきたいです。
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