【デモクラの危機?】デモクラティックスクールが抱える矛盾【サドベリースクール】

デモクラティックスクールには色々な原則があります。

カリキュラムなし、テストなし、ミーティングで決まる、などなど。

その中にはいくつか矛盾をはらんでいるものもあり、どのように対応したらよいか迷うものがいくつかあります。

今回はそれについて考えてみたいと思います。

デモクラティックスクールを作りたい人、必見です!

①集客しにくい

デモクラティックスクールでは個人の自由がが尊重されます。子どもの権利の観点からも大事なことだと思います。

また「子どもの学びを阻害するもの」としてスタッフからの活動の提案も行いません。

スクールに来るも来ないも、いつ来ていつ帰るも自由。

そう考えると、とても集客しにくいモデルだと思います。

まず、来てくれる子どもを獲得するのが難しい。

子どもに全て委ねるという方針がマイナーなこともありますが、子どもの自由を尊重する観点から「ぜひ来てください!」とは言いづらい状況にあります。

「こんなスクールがあるよー」と必要な子たちに届けるところまではできますが、強く勧誘はできないし、先に入っている子たちが入学の可否も決めるので入りたくても入れないこともあります。

次に、スクールにつながった子たちに継続的に来てもらうのが難しい。

普通の学校のように来るのが当たり前、ではないので、子どもたちは来たり来なかったりします。

年間契約でお金をもらうことはあっても、それはスクールに「来ることができる」という意味で、「来なければいけない」という契約ではないです。

「明日来る?」とは聞けても、「明日もまた来てね!」とは言いづらい。

来る回数が減ると、なんとなく足が遠のいてしまう子もいます。

そして、上記と同様の理由から、辞めようとする子を引き留めることも難しい。

もしそのような申し出があった場合は、「本当はこの子はもうちょっと通った方がいいだろな…」と思っても、基本的にはその意思決定を尊重するしかないです。

でも他のスクールの話を聞いて面白かったのは、辞めてもまた戻ってくる子が意外といるみたいです!

こうした状況を踏まえ、デモクラティックスクールは子どもを集めるのに苦労しているところが結構あるようです。

でも、どれもこれも子どもの自由を尊重し、意思決定を妨げることのないようにするもので、大切なことだとは思います。

②子ども中心だけど始めるのは大人

デモクラティックスクールとは「民主的な学校」という意味です。

民主の民とは子どもたちを指します。スクールの構成員としてスタッフの意見は尊重されますが、中心は子どもです。

しかし、子どもがやりたいと言って始まったデモクラティックスクールは実は聞いたことがないのです。

ほとんどのスクールは、スタッフが作ったか、保護者が作ったか、で始まっています(保護者兼スタッフというパターンもあります)。

そうすると、スクールを子どもと一緒に作っていくんですが、例えば最初に借りる建物を契約したり、初期費用を集めてくるのは大人になります。

本当にゼロの状態から子どもたちが作り上げていくというわけではなくなるので、子どもたちは運営に徐々に参画していくことになります。途中から入ってくる子どもたちは特にそうなりますが。

運営を子どもたちに”やらせる”わけではないのですが、”任せていく”という感覚はあるので、子どもたちが運営を”始めた”というのとは少し距離があるように思います。

そう思うと、森のようちえんのように原っぱで集合してゼロから作っていくのもありだと思いますし、子どもたちが作る秘密基地が原点になっているスクールなんかもあったら面白いです!

社会的な観点からおそらくこれからも大人の力は必要なんですが、子どもたちだけでうまく回っていくスクールというのは理想的ですね。

③スタッフは提案はしないけどそれ以外からは提案が来る

先に述べたようにスタッフは子どもに対して活動提案はしません。どんなにヒマそうにしてても。

これは以前の記事でも取り上げて書いています。

でも、スタッフは提案しなくても、他のスクールや団体、地域の人からは企画の勧誘のお声がかかるし、子ども同士でもお互いにたくさんの遊びのお誘いをしています。

そして、スクールが大きくなればなるほどそういう機会は増えます。

デモクラティックスクールって「自分で決める」ことを大事にして、そこから発生する「自由と責任」を重んじているのですが、これって子どもを受け身・他責にするのでは?と思ったりもします。

じゃあ、そういうお誘いも全部断るのか、といったらそれは自然な状態からかけ離れていくし、子ども同士で誘えなければ遊びは始まりません。

あくまで一番接する時間の長い大人であるスタッフのスタンスとして「自分の学びは自分で決める」「子どもの先回りをしない」「求められたときのみサポートをする」という原則を示しているのだと思います。

でもよそからのお誘いが多すぎたら、子どもが待ちの姿勢になる矛盾をはらんでいますよね!

普通の学校と同様にデモクラティックスクールにも矛盾はある

デモクラティックスクールなど自由な学校は普通の公教育の学校から見ると、理想的に映ることがあるかもしれません。

しかし、実態としては多くの学校現場が矛盾を抱えているように、デモクラティックスクールにも矛盾があるように思います。

でもやっぱり、スタッフや子どもが決められる裁量がとてつもなく広いのは大きな違いではありますが。

こうした矛盾の中で一つ一つどう対応しようか迷うことがあります。「先回りしない」と言っても、「気づいたことをあえて言わなかったら意地悪かな?」とか。

その一つ一つが学びで、スタッフは受け身なのでヒマな時間を過ごしているようで結構頭を使っています(笑)

コメント

タイトルとURLをコピーしました